離婚の知識

  • Home
  • 離婚の知識

離婚の際に決めること

離婚をするにあたって、以下の事項を夫婦で話し合い、取り決めておかなければなりません。
子どもがいる場合とそうでない場合、離婚の原因によって、取り決め事項は異なります。具体的な内容は当事務所でアドバイスさせて頂きますので、安心してご依頼下さい。
・親権者
・子どもの養育費
・子どもを引き取らない親と子どもの面接交渉
・子どもの氏と戸籍
・慰謝料
・財産分与

その1.親権者

未成年の子どもがいる場合、親権者を決めなければなりません。
協議離婚では親権者が決まっていないと、離婚届が受理されません。
親権とは身上監護権と財産管理権の2つを合わせたものです。
・身上監護権とは、子どもの衣食住の世話をし、教育やしつけをする権限のこと。
・財産管理権とは、子どもの財産を管理し、契約などの代理人となる権限のこと。
※親権の取り合いで、妻が身上監護権、夫が財産管理権と分けることもできますが、そのようなケースは非常にまれです。
親権者は父母の話し合いによって決めます。
話がまとまらない場合は家庭裁判所の調停で決めることになります。
子どもが複数の場合はそれぞれに親権者を決めます。
※原則として兄弟姉妹は同一の親権者が望ましいとされています。

その2.養育費

未成年の子どもがいる場合、養育費を決めておくことが重要です。
養育費は子どもが生活するために必要な費用のことで、衣食住の費用・教育費・医療費・小遣いなどの娯楽費も含まれます。
養育費の金額に決まりはなく、父母の収入や財産、生活レベルなどに応じて話し合いで決めます。
親権の有無に関係なく、双方が経済力に応じて分担します。
養育費について話し合いがつかない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。

養育費は子どもが何歳になるまでもらえるのか?
父母の話し合いで決めます。
「成人する(20歳)まで」や「高校や大学を卒業するまで」が一般的です。
養育費の支払い方法は?
話し合いで決めた期限までに毎月一定額を金融機関に振り込む方法が一般的です。
振込手数料についても負担してもらうよう決めておくことをお忘れなく。

子どもの養育費ということを相手に自覚させ、支払いの滞りを防止するためにも、こども名義の口座に振り込むようにするとよいでしょう。

その3.面接交渉権

面接交渉権とは、離婚後子どもと離れて暮らす親が子どもと会ったり、連絡を取る権利のことです。未成年の子どもがいる場合、父母の話し合いで面接交渉権を決めます。
面接交渉権は子どものための権利です。子どもの気持ちや意思を尊重し協力し合うことが大切です。
話がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。

会う頻度・時間・場所・連絡方法などを決めておくこと。

その4.子供の戸籍と姓

離婚した場合、母親は旧姓に戻りますが、子どもの戸籍と姓は現在のままです。
子どもを自分と同じ姓・同じ戸籍にしたい場合は以下のような手続きをとります。

  1. 離婚の際に母親を筆頭者とする新しい戸籍を作る。
  2. 家庭裁判所に子どもの氏の変更許可を得る手続きをとる。
    →「子の氏の変更許可申立書」を家庭裁判所に提出する。
  3. 変更許可を得たら、子どもを母親の戸籍に入籍する。
    →「入籍届」を役所に提出する。
離婚後、旧姓を名乗りたくない場合は?
結婚によって姓を変更した側は、離婚によって元の姓に戻るのが原則です。
しかし離婚後、旧姓を名乗りたくない場合「離婚の際に称していた氏を称する届」を離婚の日から3ヶ月以内に提出します。届出先は、届出人の住所地または本籍地の市区町村役所の戸籍課になります。

その5.慰謝料

離婚と聞くと慰謝料をイメージしがちですが、慰謝料は必ずもらえるというものではありません。なぜなら慰謝料というのは、相手(配偶者)の行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償金のことを指すからです。
それではどんなときに慰謝料を請求できるのかというと、例えば、配偶者による暴力や浮気などによって、結婚生活が破たんし、離婚せざるをえなくなったような場合に、慰謝料を請求することができます。
離婚をする原因をつくった側が慰謝料を支払う義務を負います。
慰謝料の金額は決まっておらず、両者の話し合いで決めることになります。
慰謝料は、離婚成立から3年を過ぎると請求できなくなります。
「なんとなく性格が合わない」「価値観が違う」というようなことが原因で離婚に至った場合は、慰謝料は請求できません。繰り返しますが、慰謝料は必ずもらえるものではありません。

「慰謝料を請求すること」と「慰謝料を支払ってもらうこと」は違います。
慰謝料の請求は可能でも、支払能力のない相手であれば支払ってもらうことは困難になります。
お金のない人からはとれないのです。
高額な慰謝料で合意することも可能ですが、相手に支払う能力がないと意味がありませんから、相手の支払い能力も
考慮した上で請求することが大切です。

その6.財産分与

財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して得た財産を夫婦それぞれで分けることをいいます。
財産分与の対象となるものには預貯金・現金・有価証券・不動産・自動車・家財道具などがあります。
年金も対象となります。
慰謝料とは異なり、離婚の原因に関係なく、対象となる財産があれば請求できます。
離婚の原因をつくった側からも請求することができます。
財産分与は離婚成立から2年が経過すると請求できなくなります。

専業主婦でも請求できるのか?
請求できます。
専業主婦で夫の給料だけで生活をしていたとしても、財産を築きあげたのは妻の協力があったからとみなされ、実質的に財産(不動産や預貯金の名義が夫であっても)は夫婦共有のものと考えます。
離婚の際には、この共有財産をそれぞれの貢献度によって分けることになります。
土地や建物はどう分割するの?
土地建物を財産分与する場合、
・土地建物を売却して、そのお金を分ける。
・土地建物をどちらか一方が所有し、所有した側が売却した場合の半額を金銭で支払う。
など、さまざま方法があります。
年金の取扱いはどうなるの?
平成19年4月から始まった年金分割制度
平成19年4月から始まった離婚時の年金分割制度により、厚生年金を夫婦が話し合いで合意することで、最大2分の1まで分割できるようになりました。
この制度により、平成19年4月以降は、年金事務所に請求手続きをすることで、被扶養者が年金受給開始年齢に達すれば、年金を直接受給できるようになりました。
ただこの制度は
・夫が会社員であり厚生年金に加入していることが前提ですので、夫が自営業の場合は利用できません。
・分割の対象となるのは婚姻期間中に支払った年金分のみです。
・夫婦の厚生年金の記録を合計して計算するので、被扶養者の年金受給額が扶養者よりも多くなることはありません。
などの注意が必要です。
平成20年4月からの年金分割制度
平成20年4月からはさらに別の年金分割制度が始まりました。
これは、第3号被保険者からの請求により、扶養されていた期間の年金を一律2分の1分割できる制度です。
この制度の特徴は、夫婦の話し合いが不要で、請求のみで分割が可能という点です。
ただし、対象は平成20年4月1日以降の年金分についてです。

財産分与の対象となる財産は、「婚姻期間中に夫婦が協力して築いた共有財産のすべて」です。
結婚前から所有しているものや結婚前に貯めていた貯金、結婚後に父母などから相続した財産は個人のものであり、財産分与の対象とはなりません。