2024年11月29日
離婚の際、養育費や慰謝料は注目されますが、「年金分割」は知らない人が
多いので、忘れないよう注意が必要です。
離婚をする際に、婚姻期間中の相手の年金について分割する取り決めを
しておくことで、離婚後、将来年金を受給できる年齢になったときに、
年金の受給額を増やすことができます。それが年金分割です。
年金に関しては、その制度や用語を難しく感じてしまうことが多く、また
法改正などもあり、離婚の手続きと同時に行おうとすると、何がなんだか
分からずに頭を抱えてしまう方がいらっしゃいます。
離婚前に少しだけでも年金分割の知識を頭に入れておくと、いざという
ときにとっかかりやすくなります。
まずこれだけでも抑えておいて頂きたいのは、年金分割には3号分割と
合意分割の2種類がある、ということです。
どちらの場合も、婚姻相手が自営業の場合は対象外となります。
また年金分割の手続きは、離婚後2年以内に必ず行ってください。
2年を超えてしまうと年金分割を請求する権利が消滅してしまうからです。
2年以内と言わずに、離婚後すぐに年金事務所へ行って手続きを行うよう
心掛けておいてください。
それでは、まずは3号分割についてです。
3号分割はその名のとおり、第3号被保険者期間がある方が対象となり
ます。
簡単にいうと、夫が会社員または公務員で、その扶養に入っているという
ケースです。
3号分割の最大の特徴は、夫の合意がいらないことです。
離婚後に自分だけで年金分割手続きを行うことができます。
ただし注意が必要なのは、3号分割で年金分割することができるのは
平成20年から離婚までの期間が対象となります。
平成20年以前にも婚姻期間がある場合は、その期間分の年金が漏れて
しまう可能性があるため要注意です。そのようなケースでは、3号分割
ではなく、合意分割での手続きがふさわしいとされています。
次に合意分割についてです。
さきほどの3号分割と異なり、合意分割は婚姻期間すべてが対象となります。
年金分割は、原則として、収入が高い方から収入の低い方へ、年金を分割する
仕組みですから、夫婦共働きの場合でも、夫より年収が低い場合は、合意
分割制度を利用して、年金分割を行うことが可能です。
反対に、自分の方が夫より年収が高い場合は、夫から年金分割の請求を
されてしまうこともあります。
合意分割の注意点は、夫と話し合って取り決めなければならない、という
点です。3号分割とは違って、自分一人で進めることはできません。
取り決めることは2つあり、1つ目は、年金分割を行うことに同意して
もらうこと、2つ目は、年金分割の按分割合を決定することです。
按分割合とは、年金分割の対象となる期間のうち、どれだけの割合・持分
を分割してもらうのか、ということです。
按分割合の上限は50%となっています。
3号分割においては、按分割合は自動的に一律50%と決まっています。
この2つを話し合って取り決めることで合意分割を行うことができます。
年金分割について初耳だという方にとっては、上記の説明でも難解に
思えたかもしれませんが、まずは3号分割と合意分割の2つの制度が
あり、自分はどちらを選択すべきかだけでも抑えて頂くことが、年金分割
を理解するための第1歩になります。
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