2023年03月17日
離婚の際、子どもの養育費や慰謝料、財産分与などの取り決めをした場合
取り決めた内容を“公正証書”に残すことはとても意味のあることです。
公正証書は、金銭の取り決めについて強制執行することができるため、
金銭を受け取る側にとっては大きな安心材料となります。
強制執行というのは、約束した金銭(養育費や慰謝料)を相手が支払わ
ない場合に、相手の給料を差し押さえて充当することをいいます。
つまり強制的に支払わせることができます。
もちろん約束した金銭を支払っていれば強制執行されることは絶対に
ありませんし、金銭の支払いが数日遅れただけですぐに強制執行される
なんてこともありません。
あくまで相手が支払いをストップし、金銭を受け取る側が催促しても
応じないような場合に強制執行する権利がある、ということになります。
この公正証書については、夫が作成を嫌がることがしばしば起こります。
その理由としては
①妻との取り決めの証拠を残したくない
②妻との取り決めに縛られたくない
③作成するのが面倒だ
④強制執行が怖い
などがあります。
①に関しては、養育費や財産分与などの取り決めは、証拠を残しておかない
と意味がありません。そしてその証拠とは、書面によって残すことが望まし
いとされています。
②についてですが、このように「縛られたくない。書面にしなくても支払う」
と言っている人ほど要注意です。支払う気があるのならば、どんな書面を作成
しても問題ないはずです。
③について、これも体のいい言い訳です。この場合は、「作成は専門家に
お願いします。あなたは内容をチェックして、最後に公証役場に行ってくれ
たら、それで終わりです」と丁寧に説明してあげるといいと思います。
④について、強制執行を怖いと思う気持ちは理解できます。
ただ上記のように、きちんと金銭を支払っている人は強制執行されません
から、その点をしっかり説明することが求められます。
また例えば、夫が金銭を支払うことが出来なくなる事情(会社を解雇された
など)がある場合は、その事情を斟酌することも伝えてあげるとよいかと
思います。
公正証書は夫婦の合意のもとに作成するものです。
養育費は子どもの将来のため、慰謝料や財産分与は妻の離婚後の生活のため
のものです。夫婦にとってとても大切な取り決めです。
夫しては、書面を作成することで妻への配慮や誠意を示すことになります。
妻としては、書面に残すことで安心して暮らすことができますし、夫への
感謝の気持ちも芽生えます。
お互いが納得して次へ踏み出せるよう、離婚の最終段階として“公正証書”
を使ってもらえたらと思います。
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