2019年04月09日
最高裁は先月、成年後見制度の報酬改定を促す通知を全国の家庭裁判所に
出しました。
成年後見制度とは、認知症などで判断能力が不十分な人をサポートする
制度です。
利用者がサポートしてくれる人(後見人)に報酬を支払い、財産管理や
福祉サービスの手続きなどを代行してもらいます。
この後見人に弁護士や社会福祉士などの専門職が就いた場合
通常の業務の基本額として、月2万円程度の報酬(定額)を支払うことが
必要となります。後見人が管理する財産が多いほどこの報酬額は上がり
月5~6万になるケースも存在します。
この定額制は後見人のサポートの内容にかかわらず報酬が発生するため
利用しづらいとの意見もありました。
(後見人が仕事をしない月も報酬を支払わなければならないため)
新しい仕組みでは、定額の報酬制度は廃止、また財産の額によって報酬額が
上がることも廃止になります。
今後は、業務の難易度に応じて「標準額」を決め、実際に行った業務の内容
によって標準額を加算したり減額したりするように変わっていくそうです。
定額制を廃止することで業務内容の明確化が図られる一方、本当に支援を必要と
する人の負担が増えてしまうという懸念もあります。
定額制ではないということは、サポートしてほしい業務を追加するたびに
報酬が発生するということになりますから、そうなるとこれまでより報酬額が
増えてしまうようなケースも考えられます。
もちろん後見人を専門職ではなく、親族にお願いすることもできますが
そうなると無報酬で引き受けることになるケースが多くなり、引き受けて
くれる人が減っていくのではないかという問題もあります。
成年後見制度は開始から利用者数が伸びず、普及が進んでいません。
今回報酬制度が改定されたことで、少しでも利用者が利用しやすくなって
いけばいいと思いますが、なかなか一筋縄ではいかないようです。
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