教育費の話し合いはお早めに

2023年04月07日

3月の受験シーズンが過ぎ、いよいよ4月、新学期が始まる季節です。

学校の新学期は何かと物入りです。

入学金に授業料、学用品代等、、、一般的に『教育費』という言い方を

しますが、今回はこの教育費についてお話していきます。

 

離婚の際、子どもの毎月の養育費について細かく取り決めることは

あっても、教育費まで検討していないケースが多々見受けられます。

もちろん人によっては毎月の養育費の中に教育費も含めて金額を設定

するケースもあります。

 

ただ教育費の問題点の一つとして、離婚する段階では子どもの教育費が

いくらかかるか分からないということです。

子どもが高校卒業後に大学や短大、専門学校へ進学するのか、はたまた

就職するのか、離婚する時点で予想するのは困難です。

そのため離婚時に細かく取り決めておくことは容易ではありません。

 

そして教育費のもう一つの問題点は、金額が大きいことです。

そのため、離婚時に負担割合についてある程度話し合っておかないと

あとで非常に困った事態に陥ることになります。

 

事前に取り決めをしないまま、いざ子どもの進学のときに

「娘の大学受験で100万円かかるから、お互いに折半しましょう」と

元夫に請求したとしても、手元にまとまったお金がないと支払えない

というのが現実です。

 

元夫が支払えない場合、妻が全額負担することになってしまったり

親に借りることになったり、最悪の場合は、子どもに進路変更を求める

ケースもあります。

そのような事態を避けるためにも、高校受験と大学受験、この2つの

タイミングを逆算したうえで、ある程度話し合いをしておくことが

求められます。

 

離婚後、多くのご家庭において母親が親権者となります。

元夫は子どもと暮らしていない分、教育費に関して理解不十分であること

が多いです。

公立、私立、文系、理系でどれほど学費が異なるのか、よくわかっていない

場合も多いですから、費用を具体的に示して説明する必要があります。

事前に何の説明もなく「息子が理系の大学に進学するから、授業料はあなた

が払ってください」と伝えてしまうと「そんなに払えない」と反発される

ことが容易に想定できます。

 

請求される側も、お金を準備する時間が必要ですから、早めに伝えておくこと

が紛争回避の鍵です。

手間のかかる作業ですが、あらかじめお互いが教育費について理解している

ことがまず第一歩ですから、子どもの教育費にいくらかかるのかの話し合い

これだけは離婚の際にしっかり行ってください。

 

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養育費はまず正しい知識から

2023年03月31日

離婚の取り決めで最優先したい項目は、子どもの養育費です。

養育費に関しては、離婚後も毎月支払ってもらっている女性は2割程度と

いわれており、いまなお支払いに関して課題が山積しています。

 

なぜ養育費はきちんと支払われないのか?

そもそも離婚時に養育費について取り決めをしたのか、また取り決めた

場合に書面として残したか、という点も重要です。

 

養育費を支払う側は

・毎月の振込みが面倒で、つい忘れてしまう

・そもそも取り決めていないから払うつもりはない

・口約束だけの取り決めだから、見逃してもらえるだろう

と甘く考えているケースがあります。

 

受け取る側も

・しばらく元夫から養育費の振込みが途絶えている。このまま諦める

しかないのかな

・簡単な口約束だけで済ませてしまったから、これ以上はもう請求でき

ないのかしら

と、泣き寝入りしてしまったり、簡単に諦めてしまったりするケースも

見受けられます。

 

養育費は、支払う側も、受け取る側もそれぞれが正しい知識をもつこと

が最初の第一歩です。

正しい知識とは、たとえば

・養育費は、離れて暮らす子どもの生活や将来のためであること

・養育費を取り決める金額の目安となる養育費算定表があること

・養育費の不払いを防ぐ効果がある公正証書というものがあること

などです。

 

正しい知識を得たうえで、養育費の不払いという事態が起こらないよう

また不払いが発生した場合にも対処できるよう備えておくことも忘れず

に追加してください。

 

養育費不払いの対策としては

①取り決めたら書面に残す

→あとで紛争にならないように証拠として残すため

②書面作成はプロ(行政書士・弁護士)に依頼する

→不備のない書面を作るため

③金額は毎月無理なく支払える額にすること

→相手に継続して払ってもらうため

この3つを遵守するだけでも、養育費の不払いを防ぐことが期待できます。

 

養育費は、取り決める段階においても、取り決めたあとにおいても、

抑えておくべきポイントが沢山あります。

養育費絡みのトラブルの多くは、そのポイントをおさえていないこと

がきっかけとなっているケースが多々見受けられます。

離婚後に養育費を滞ることなく支払ってもらうことは、子どもの養育の

ためにも、養育する側にとっても、本当に大切なことです。

経験のないことを失敗なくやり通すことは難しいですから、専門家の

手を借りて少しでも負担を軽くしてもらえたらと思います。

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これって離婚するべき?

2023年03月24日

「これって離婚するべき?」といった悩みを抱えて相談にいらっしゃる

場合、今は離婚まで考える必要はないケースと離婚を検討した方がよい

ケースの2つに分かれます。

 

まずは「今は離婚まで考える必要はないケース」について考えます。

夫の日頃の言動に対する悩みは、小さなものから大きなものまで、その

種類は千差万別です。

「多くの女性が同じことで悩んでいますよ」と聞いて、自分の悩みは

よくあることだと安堵する。

他人に夫の不満を話しているうちに、自分に離婚意思があまりないことに

気付く。

こんなふうに、夫に不平不満があって離婚が頭をよぎっても、

“離婚するべき”という回答にならないことの方が多いものです。

 

ただそれでも離婚を何度か考えてしまうほど悩みの種が大きくなっている

ことは事実ですから、「このくらいで離婚を考えてもいいのか」

「離婚したい気持ちが膨らんできたけど、どうしたらいいのか」と

専門家に相談するのは自分を客観視する意味でも大切な作業だと思います。

 

離婚を考え始めたけど、いざ人に話してみると自分にそこまで離婚意思が

ないことに気が付いた、これだけでも大きな収穫です。

このことで日頃の夫の言動を受け流すことが出来たりします。

 

もう一つの「離婚を検討したほうがよいケース」について考えます。

離婚を考える指標の一つとして、夫の存在が原因による体調不良です。

例えば、夫といると動悸がする、夫がいると眠れない、夫のことを考えると

食欲不振になる、といったように日常生活に支障が出てきてしまっている

ようだと、別居ないし離婚を考えなければならない段階にきている可能性が

あります。

ただ一時的な体調不良かもしれませんから、別居にしても一定期間、離婚を

考えるにしても時間をかけて体調を見極めながら進めていく必要があります。

夫の存在が過度なストレスになっているなと感じているときは、我慢しすぎ

ていたり、視野が狭くなっていたりしますから、そんなときは専門家に話を

しに行ってください。

精神的に疲弊しすぎてしまうと正常に物事をとらえられなくなってしまい

ますから、一度立ち止まって、自分の状態を客観視する必要があります。

 

「これって離婚するべき?」という問いは、自問自答しても、正しい答え

を出すのは難しい問題です。悩んだら殻に閉じこもらずに、一歩踏み出して

相談してみてください。

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公正証書の押し問答

2023年03月17日

離婚の際、子どもの養育費や慰謝料、財産分与などの取り決めをした場合

取り決めた内容を“公正証書”に残すことはとても意味のあることです。

公正証書は、金銭の取り決めについて強制執行することができるため、

金銭を受け取る側にとっては大きな安心材料となります。

 

強制執行というのは、約束した金銭(養育費や慰謝料)を相手が支払わ

ない場合に、相手の給料を差し押さえて充当することをいいます。

つまり強制的に支払わせることができます。

もちろん約束した金銭を支払っていれば強制執行されることは絶対に

ありませんし、金銭の支払いが数日遅れただけですぐに強制執行される

なんてこともありません。

あくまで相手が支払いをストップし、金銭を受け取る側が催促しても

応じないような場合に強制執行する権利がある、ということになります。

 

この公正証書については、夫が作成を嫌がることがしばしば起こります。

その理由としては

①妻との取り決めの証拠を残したくない

②妻との取り決めに縛られたくない

③作成するのが面倒だ

④強制執行が怖い

などがあります。

 

①に関しては、養育費や財産分与などの取り決めは、証拠を残しておかない

と意味がありません。そしてその証拠とは、書面によって残すことが望まし

いとされています。

 

②についてですが、このように「縛られたくない。書面にしなくても支払う」

と言っている人ほど要注意です。支払う気があるのならば、どんな書面を作成

しても問題ないはずです。

 

③について、これも体のいい言い訳です。この場合は、「作成は専門家に

お願いします。あなたは内容をチェックして、最後に公証役場に行ってくれ

たら、それで終わりです」と丁寧に説明してあげるといいと思います。

 

④について、強制執行を怖いと思う気持ちは理解できます。

ただ上記のように、きちんと金銭を支払っている人は強制執行されません

から、その点をしっかり説明することが求められます。

また例えば、夫が金銭を支払うことが出来なくなる事情(会社を解雇された

など)がある場合は、その事情を斟酌することも伝えてあげるとよいかと

思います。

 

公正証書は夫婦の合意のもとに作成するものです。

養育費は子どもの将来のため、慰謝料や財産分与は妻の離婚後の生活のため

のものです。夫婦にとってとても大切な取り決めです。

夫しては、書面を作成することで妻への配慮や誠意を示すことになります。

妻としては、書面に残すことで安心して暮らすことができますし、夫への

感謝の気持ちも芽生えます。

お互いが納得して次へ踏み出せるよう、離婚の最終段階として“公正証書”

を使ってもらえたらと思います。

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離婚のスピード

2023年02月21日

離婚には、じっくり時間をかけて進めていく離婚と、極力時間をかけずに

急ぎで進めていく離婚があります。

どう違うのでしょうか?

 

まずは時間をかけて進めていく離婚についてお話していきます。

離婚する夫婦の大半がこちらに該当するかと思いますが、特に

〇自分の離婚の意思が完全には固まっていない

〇相手がなかなか離婚に応じてくれない

〇養育費や慰謝料などの条件面の交渉がまとまらない

といった場合は、双方が納得するまでよく話し合う時間が必要です。

条件面などの話し合いでは、時に紛糾してしまうこともありますから

お互いが冷静に考える時間も含めて、数か月から数年単位の時間が必要に

なることもあります。

 

特に上記の1つ目と2つ目に当てはまる場合はより慎重さが必要です。

自分の離婚の意思が固まらない場合は、気持ちが固まるまでは離婚に

踏み切る必要はありません。同様に、相手が離婚に応じたくないと

離婚を突っぱねている場合、無理強いさせることもNGです。

離婚は双方の合意が鉄則ですから、無理強いさせることも、することも

あってはなりません。

 

一方で、時間をかけない方がいい離婚のケースも存在します。

たとえば

〇お互いに離婚の意思は固まっている

〇ある程度、離婚後の条件面を取り決めている

ような場合は、相手の気が変わらないうちに早めに離婚の手続きを済ませた

方がいい、という側面もあります。

 

離婚において大切なことは、双方の離婚の意思と条件面です。

この2つがある程度まとまっているようであれば、あまりダラダラと時間を

かけずに、早急にとりまとめることをお勧めします。

このようなケースで時間をかけてしまうと、相手の気が変わったり

周囲からあれこれ口出しをされることで、既に決めてあった条件を下げる

よう要求してきたりと、あまりいい流れにはならないことが多いからです。

 

離婚を考えている夫婦には、それぞれ適切なタイミングがあります。

養育費や慰謝料の話し合いが円満にまとまり、スムーズに離婚に至った

ようなケースはタイミングがベストだったといえます。

 

タイミングを逃してしまったり、まだその時期ではないのに先走って

しまったり、自分だけでは冷静に判断できないこともあります。

そんなときは、信頼のおける身近な人、または専門家に話をしてみて

ください。

離婚問題については、そのときの自分の気持ちを素直に吐き出してみる

ことで、自分でも気づいていなかった感情が表面化してくることが

あります。一人では抱えきれずにパンクしてしまわないよう、溜め込ん

でしまわないようにしてください。

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離婚は経済面か精神面か

2023年02月03日

離婚はときに経済的な安定か、精神的な安定をとるかの選択を迫られる

ことがあります。

 

離婚はしたいけれど、経済的に厳しいかもしれないという場合は、無理に

今すぐ離婚を決断する必要はありません。

経済的な面で離婚を踏みとどまるケースは、子どもの教育費の捻出がネックに

なっていることが多々あります。

このような場合においては、子どもが高校を卒業するまで、子どもが社会人に

なるまで、と期限を区切り、子どもの生活が落ち着いたら離婚に踏み切る、

という方が多くいらっしゃいます。

またこれとは別に、夫婦仲が悪くとも経済面を優先し、「夫婦関係はこんな

もんだ」と割り切って、離婚を選択しないケースもあります。

 

一方、経済的には苦しくなるけれど、精神面を優先して離婚に踏み切るケース

もまた沢山存在します。

このような場合は、親の援助や兄弟姉妹の理解、養育費の確保、財産分与など

思いつく限り、やれることを一つずつやってから離婚を進めていきます。

離婚をするとどうしても経済的に影響が出るケースが多いのですが、そのこと

を覚悟したうえで、離婚を選択された方は、皆一様に

「離婚して気持ちがとても楽になった」

「もやもやした気持ちが晴れて、息ができるようになり、楽になった」と

おっしゃられます。

 

経済面か、精神面か、何を最優先に選択するのかは人それぞれです。

婚姻を継続する場合は、夫婦仲の問題からくる精神的なストレスと向き合って

いかなければなりませんし、離婚を決断する場合は、お金のことで頭を悩ませ

る回数が増えるかもしれません。

そういったときでも、そのときどきの自分の選択を疑わずに、前向きに捉えて

いくように意識してください。

「あのとき離婚しとけばよかった」「あそこで離婚しなければよかった」と

もう一つの選択肢ばかり考えないようにすることが大切です。

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“価値観の違い”で苦しむ人へ

2023年01月24日

離婚の原因としてよく挙げられるのは

「性格の不一致」「不倫」「借金」「暴力」といった問題です。

なかでも多いのが「性格の不一致」いわゆる「価値観の相違」といった

問題です。借金や暴力に関しても、もとをたどればここに行き着きます。

 

性格の不一致は非常に難しい問題です。

たとえば掃除や片付け、家事においては、人によって基準が全然違います。

きれい好きの妻からすると、大雑把な夫の行動はストレスに直結します。

他人に相談しても「そんなこと大したことじゃないわ」と一笑に付される

ことがほとんどです。

 

しかし、妻からすると「何度も何度も注意したけれども直してくれない。

直そうとする意思もない。今後も直る見込みがない」と次第にストレスが

大きく膨れ上がっていきます。

その途中で義理の両親に相談して解決を試みても「たかだかそれくらいの

ことで何言ってるの。あなたが我慢すればいいだけのことでしょ」と逆に

お説教をされてしまうケースも少なくはありません。

 

他人から見れば大した問題ではないことでも、その人にとっては、とんでも

なく苦痛に感じてしまうことは沢山あります。

もちろん婚姻生活において、相手の言動に対してある程度の忍耐や許容は

必要ですが、我慢し過ぎて苦しくなってしまうと、日常生活にも支障が出て

しまいます。

 

たとえば

“夫と一緒にいると動悸がする”

“夫のいる家に帰ろうとすると胃がキリキリむかむかと痛くなる”

“夫のいる家に帰りたくなくて、帰り道はつい遠回りをしてしまう”

という自覚症状まで出てしまうと、一人では抱えきれない、誰かに

話をしてみるサインだと捉えてください。

 

性格の不一致というものは、双方が話し合っても容易に解決するものでは

なく、注意してもおいそれと直るものではなく、ましてや親に頼って改善

するものでもありません。

 

当事務所のお客様のなかには

「こんなことで離婚だなんで、私ってだめですよね?」とお話される方も

いらっしゃいますが、そんなことはありません。

 

夫婦間の問題はその夫婦にしか分からないことです。

性格、金遣い、親との付き合い方など、どのポイントでその人が嫌だと

思うのかは人それぞれ異なります。

離婚理由は千差万別です。そこには優劣も大小もありません。

一人で抱えきれなくなったら、ぜひ専門家に相談してみてください。

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「嫡出推定」が改正されました

2022年12月21日

子どもの法律上の父親を決める「嫡出推定」を見直す改正民法が、今月10

日に成立しました。

 

※改正前(現行)の嫡出推定について———————————————–

女性が婚姻中に妊娠した子どもを夫の子と推定する規定のこと。

離婚から300日以内に生まれた子どもは婚姻中に妊娠したとされるため

生物学的に関係のない男性が法律上の父親と扱われてしまうことがある。

この嫡出推定による親子関係を覆すには「嫡出否認」が裁判所で認められ

なければならない。この嫡出否認を申し立てる権利は夫にだけ認められて

いる。————————————————————————————-

 

明治31年から続くこの「嫡出推定」の制度は、離婚から300日以内に

生まれた子どもを前の夫の子とする、という規定となっていました。

様々な事情により、これを避けたい母親が出生届を出さず、子どもが無戸籍

となってしまうケースが以前から問題視されており、今回見直しがかかりま

した。

 

改正民法では、再婚している場合は、離婚から300日以内に生まれた子ど

もであっても、「今の夫の子」と推定することになりました。(妊娠時期は

問わない)

このことにより、「前の夫」と「今の夫」で法律上、重複する可能性がなく

なり、“女性にかぎって離婚から100日間再婚を禁止する”という規定も廃止

されることになります。

改正民法は公布から1年6か月以内に施行され、それ以降に生まれた子ども

に適用されます。

 

また「嫡出推定」による父親と子どもとの関係を解消するための「嫡出否認」

の手続きについて、現在は父親だけに認められている申立ての権利を、子ども

と母親にも拡大することも盛り込まれました。

さらにこの「嫡出否認」の申立期間は、子どもの出生を知ったときから1年

以内という現行法から原則3年に延長されます。

 

この嫡出推定の見直しは明治31年以来初めてのことですから、この改正

内容については抑えておきたいところです。

※12月11日付秋田魁新報を参照しております。

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離婚協議は冷静さが第一

2022年12月12日

離婚の話し合いにおいて一番大切なこと、それは“とにかく冷静であること”

です。分かってはいても、これが一番難しいことです。

 

離婚の話し合い、離婚協議に入ると、どうしても冷静ではいられません。

離婚協議というものは、双方の利益が対立することが基本だからです。

例えば、養育費については、妻としてはできる限り多く支払ってほしい、

夫としては、できる限り金額を抑えたいと考えている。

財産分与に関しても、妻は自宅を取得して子どもと住み続けることを

望んでいるが、夫としては売却してローンを返済してしまいたい。

こんなふうに、お互いの話し合いのゴールが違うため、経過途中で

もめてしまうことになります。

 

離婚協議の理想は、相手のことを思いやって折り合いをつけることと

言われていますが、それができたら苦労しません。

どちらかが一方的に譲歩することになってしまったり、どちらかが主張を

曲げなかったりと、フェアにはいかないことの方が多い、これが現実です。

非常に難しい話し合いだからこそ、冷静でいることが本当に大切になって

きます。

 

話し合いでカッとなってしまうと、思考の視野が狭くなってしまいがち

ですし、相手に対するマイナスの感情が抑えられなくなってしまいます。

離婚協議は、どのご夫婦もどこかにある“落としどころ”を探っていく作業

になります。

相手にどれだけの支払いの意思があるのか、相手が子どもを育てるのに

どれだけのゆとりがあるのか、といったことを探りながら、話し合いを

進めます。

冷静さを失ってしまうと、こういった視点で物事を見ることができなく

なり、「とにかく早く離婚したい」「相手のことなんてどうでもいい」

と間違った方向に進んでしまうことがあります。

夫婦は相手のことを誰よりもよく理解していますから、いざとなれば

相手が一番嫌がることを請求したり、わざと相手を怒らせて話し合い

を破棄してしまうなんてことも容易にできてしまいます。

 

その反対に、相手に対する配慮がある場合、話し合いがスムーズに進む

こともあります。

「本当は養育費は5万円ほしいけど、相手の生活のことを考えて4万円

で構わない」「自宅は残したいけれど、ローンの支払いが大変だろうから

売却に協力する」といった譲歩をされると、相手も悪い気はしません。

本来離婚協議において、できれば譲歩はしたくないと思います。

ただ、離婚後の生活を考えてみると、養育費一つとってみても、金銭を

支払う方が余裕をもって毎月支払っていけるようにすることが、継続的な

支払いに直結することになります。

離婚後も相手と連絡を取り合う必要がある場合などは、離婚協議で譲歩

することが、長い目でみると得になることも多々あります。

 

お互いが無理な条件で離婚することだけは一番避けたい事態です。

高額な養育費を取り決めたとしても、途中で相手に支払う能力がなくなっ

てしまったら、困るのは受け取る側です。

また反対に、相場より低い養育費を無理に押し通したことで、子どもが

つらい思いすることは支払う側の責任です。

 

離婚協議は、まず冷静であるように努めること、長期的な視野をもって

考えること、この2点、実践は簡単ではありませんが、意識してみる

だけでも違ってくると思います。

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離婚の公正証書のメリット

2022年11月25日

離婚をする際、夫婦間でさまざまな取り決めをします。

子どもの養育費に財産分与、離婚原因によっては慰謝料を取り決める場合

もあります。

取り決めること以上に大切なのは、その取り決めをお互いがしっかり遵守

すること、そしてその後紛争にならないように備えておくことです。

そのためにあるのが『公正証書』です。

公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公文書のことを指します。

夫婦間の取り決めを公正証書に記載し、公証人の面前で夫婦がサインを

します。

簡単に言うと、夫婦間で離婚の契約を交わすことです。

 

公正証書に記載された内容は、夫婦お互いに守る義務が発生します。

養育費や慰謝料などの金銭の支払いに関して、支払いをしなかった場合に

おいては、金銭を支払う側の給料が差し押さえらえ、未払い分に充当される

という“強制執行”という効力が備わっています。

 

この公正証書を離婚の際に作成しておくことで、そうでない場合と比較する

と「お互いに取り決めを守らないと!」という意識が格段に強くなります。

離婚の取り決めを書面に残すことは、証拠を残すということですから、あとに

なって「そんな約束はしていない」とトラブルになる可能性は極めて低くなり

ます。

養育費や慰謝料を支払ってもらう側(主に妻が多いです)からすると、

夫婦間の取り決めを公正証書に残すことは、心強くありがたいものです。

ただ公正証書は効力の強いものですから、夫婦で合意のうえ作成することに

なります。

さきほど説明した“強制執行”の効力も漏らさずしっかりお互いに理解すること

が大切です。

 

公正証書の認知度は非常に高く、離婚を少しでも考えている方の多くが

その存在を知っています。

近年は離婚にまつわる制度の改正が少しずつ進み、養育費算定表の金額が

上乗せされたり、離婚届に「面会交流や養育費についての回答欄」が設け

られたりと、子どものために養育費をきちんと取り決めておくことが

一般的になってきました。

そこからさらに一歩進んで、その取り決めを公正証書に残すことができれば

離婚後も子どもを育てていく女性にとっては、安心材料となります。

もちろん相手あってのことですから、無理強いはできませんが、子どもの

将来のためにも、公正証書を作成することも含めて、取り決めをしてもらえ

たら幸いです。

 

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